【ROS 2】Ubuntuを最新の状態に更新する
Raspberry pi 5にインストールしたUbuntuを最新の状態に更新する手順を解説します。更新の主な流れは、最新パッケージリストの取得・パッケージの更新・不要なパッケージの削除、そしてキャッシュの整理です。
(1) バージョンを確認する
Ubuntuのバージョン
Ubuntuのバージョン(22.04、24.04など)やコードネーム(jammy、nobleなど)を確認するには[lsb_release -a]と入力します。
アーキテクチャ
アーキテクチャ(aarch64、x86_64など)を確認するには[arch]と入力します。下表の例では[aarch64(ARMアーキテクチャの64ビット命令セット)]となっています。
カーネルのバージョン
カーネルのバージョンを確認するには[uname -r]と入力します。下表の例では、カーネルは6.8系で、ABI(Application Binary Interface)番号が[1040]、カーネルフレーバーが[raspi]となっています。
(2) 最新の状態に更新する
Ubuntuの安定した動作の維持と安全に利用するには、定期的にパッケージを更新して最新の状態に保つことが大切です。パッケージの更新には、APT(Advanced Package Tool)コマンドを使用します。更新の主な流れは、最新パッケージリストの取得・パッケージの更新・不要なパッケージの削除、そしてキャッシュの整理です。それでは、順を追って解説していきます。なお、APTコマンドの実行には、管理者権限が必要です。
最新パッケージリストの取得[apt update]
Ubuntuでは、アプリケーションの実行ファイルや設定ファイル、ドキュメントなどを[パッケージ]という単位で管理しています。そのパッケージやバージョン情報を一元管理しているのが[リポジトリーサーバー]です。下表のコマンド[apt update]を入力すると[/etc/apt/sources.list.d/ubuntu.sources]に記載されたリポジトリーにアクセスし、最新のパッケージ情報を取得してローカルのパッケージリストを更新します。なお、このコマンドでは、パッケージそのものの更新は行われません。
パッケージの更新[apt upgrade/apt full-upgrade]
下表のコマンド[apt upgrade]を入力すると、最新のパッケージリストをもとに、パッケージの更新が行われます。更新は、パッケージの依存関係に基づいて行われるため、自動的に新しいパッケージが導入されたり、他の関連パッケージが更新されることもあります。
ただし、あるパッケージが古いバージョンの依存関係に固定されている場合は、依存先パッケージの更新が保留されることがあります。下表のコマンド[apt full-upgrade]では、可能な限り最新のバージョンに更新することを優先するため、そのような依存関係がある場合、古いバージョンに依存しているパッケージ(依存元)を削除する動作となります。削除前にはメッセージが表示されるため、依存元のパッケージを削除するか、いったん中止して個別に対応するかを選択できます。
不要なパッケージの削除[apt autoremove]
下表のコマンド[apt autoremove]を入力すると、過去に依存関係によって自動的に導入されたパッケージのうち、最新バージョンへの更新によって不要になったものが削除されます。不要なパッケージを整理することで、ディスク容量が解放されるため、定期的に実行することをおすすめします。
キャッシュの整理[apt autoclean/clean]
下表のコマンド[apt autoclean]を入力すると、古いパッケージのキャッシュファイルが削除されます。キャッシュファイルとは、パッケージをダウンロードしたときの一時ファイル(debファイル)のことで[/var/cache/apt/archives]に保管されています。このコマンドでは、使われていないパッケージなどを古いものと判断して削除します。ディレクトリー内のファイルをすべて削除する場合は、コマンド[apt clean]を使用します。キャッシュを整理することで、ディスク容量が解放されるため、定期的に実行することをおすすめします。
紹介したコマンドを下表にまとめました。
| コマンド | 主な機能 | 備考・注意点 |
|---|---|---|
| apt update | 最新パッケージリストの取得 | 実際のパッケージは更新されない |
| apt upgrade | 依存関係を保ちながらパッケージを更新 | 一部の更新が保留されることがある |
| apt full-upgrade | 可能な限り最新に更新、必要に応じて依存元を削除 | 削除前に確認メッセージが表示される |
| apt autoremove | 不要になったパッケージを削除 | ディスク容量の節約に有効 |
| apt autoclean | 古いキャッシュファイルを削除 | /var/cache/apt/archives内の古いdebファイルを削除 |
| apt clean | キャッシュファイルをすべて削除 | すべてのdebファイルを削除 |
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