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NASのファイル共有によるデーター消失の危険性

NASのバックアップ環境構築(オンプレミス)

2023-01-152024-11-21

NASのファイル共有によるデーター消失の危険性を低減する方法と具体的なバックアップ環境の構築(環境)を紹介します。

データー消失のさまざまな理由

大切なデーターを保存するNAS(ネットワーク対応ハードディスク)を1台だけで運用していませんか?データーは常に「消失」という危険と隣り合わせ。大切なデーターの消失はある日突然やってきます。NASの大容量化に伴い、データを失えばその影響範囲が大きくなります。

データー消失のさまざまな理由

ほとんどのNASは、24時間365日電源オンの状態で運用されています。正常に稼働していれば、存在すら忘れられて埃っぽい劣悪な環境におかれていることもしばしば。年末の大掃除で思い出して、きれいに拭き掃除・・・ちょっと待ってください。それも危険な行為かもしれません。では、データーが消失するいくつかの理由を見てみましょう。

  • 老朽化・落下など外部からの衝撃による内蔵ハードディスクの故障
  • 老朽化・落下など外部からの衝撃によるNAS筐体の故障
  • アクセス中の停電・瞬断によるデーターの消失
  • 人為的ミスによるデーターの削除や上書き
図1-1.データー消失のさまざまな理由
図1-1.データー消失のさまざまな理由

ハードディスクは消耗品です。種類や動作環境にもよりますが、一般的には3年~4年程度が寿命といわれ、寿命を過ぎると急激に故障率が上がります。24時間365日動き続けているNASは、老朽化によって消耗しやすいと言えるでしょう。また、落下など外部からの衝撃によって、ハードディスクに傷がついたり、NAS筐体(基板・コネクター・電源部分など)が故障する原因となります。掃除の時、うっかり手がぶつかってNASが床に落下したら・・・そう考えるとやはり1台で運用するのは怖いですね。

雷の季節になると増えるのが、アクセス中の停電や瞬断によるデーターの消失です。部分的にデーターが消失するだけでなく、NASが起動しなくなることもあります。また、コンセントを不注意で抜いてしまうことによる電源断も同様です。

うっかりミスによるデーターの消失もよくあります。ファイルの整理中に必要なものまで削除したり(しかもNASのゴミ箱機能がオフ)、名前を付けて保存するつもりだったのに元のファイルに上書きしたり。影響範囲は限定的ですが、大切なデーターが消失することには変わりありません。

データー消失の危険性を低減する方法

上記の理由はほんの一例です。どれも日常的に起こりうるものばかりで、データーの消失という危険がいかに身近なものか感じられたのではないでしょうか。では、どうすればその危険性を低減できるのでしょうか?

データー消失の危険性を低減する方法

NASのファイル共有によるデーター消失の危険性を低減する方法を紹介します。これらの方法は「低減」であり、完全に回避するものではありません。また、クラウドなどは利用せず、自宅や事務所内で完結する方法、いわゆるオンプレミスです。

  • 信頼性の高い内蔵ハードディスクを採用する
  • 内蔵ハードディスクの故障に備えて、NAS本体内にて複製を行う
  • 故障などに備えて、別のNASへ定期的にバックアップを行う
  • 停電・瞬断時のデーター保護のため、電源保護を行う
図1-2.データー消失の危険性を低減する方法
図1-2.データー消失の危険性を低減する方法

それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。

信頼性の高い内蔵ハードディスクを採用する

バッファローやアイ・オー・データが販売しているNASには、個人向けと法人向けがあるのはご存じでしょうか。法人向けNASには、NAS向けに設計され長時間稼働に適した信頼性の高い内蔵ハードディスクを採用しているものがあります。このようなNASを購入する方法です。故障リスクの低減や寿命の改善が期待できます。

内蔵ハードディスクの故障に備えて、NAS本体内にて複製を行う

内蔵ハードディスクの故障に備えて、NAS本体内にて複製を行う機能を「ミラーリング(RAID1)」といいます。このような機能を備えたNASを購入する方法です。ミラーリングは、常時2台の内蔵ハードディスクに同じデーターを書き込み、一方に故障があっても、他方で動作を継続することができる仕組みです。故障したハードディスクの交換にも対応しています。ただし、内蔵ハードディスクが2台同時に故障したときは、データーを消失します。

故障などに備えて、別のNASへ定期的にバックアップを行う

内蔵ハードディスクやNAS筐体の故障に備えて、別のNASへ定期的にバックアップを行う機能を備えたNASを購入する方法です。あらかじめ指定したスケジュール(毎日深夜2時など)に従って、自動バックアップが行われます。

停電・瞬断時のデーター保護のため、電源保護を行う

停電・瞬断時のデーター保護のため、電源保護を行う「無停電電源装置(UPS)」という機器の導入を検討します。いわゆるバッテリーで、停電や瞬断時でも、UPSに接続した機器に対して、継続して電源を供給することができます。また、UPSと連携する機能を備えたNASを選択すれば、停電時において、NASを安全に自動停止(シャットダウン)できます。

バックアップ環境の構築(構成)

NASのファイル共有によるデーター消失の危険性を低減する方法として、次の4つを解説しました。これらの方法をすべて満たすバックアップ環境構築の例を紹介します。

  • 信頼性の高い内蔵ハードディスクを採用する
  • 内蔵ハードディスクの故障に備えて、NAS本体内にて複製を行う
  • 故障などに備えて、別のNASへ定期的にバックアップを行う
  • 停電・瞬断時のデーター保護のため、電源保護を行う

本記事で紹介する構成は次の通りです。常時アクセス環境・バックアップ環境ともに同構成となります。

図3-1.NASのバックアップ環境構築(オンプレミス)
図3-1.NASのバックアップ環境構築(オンプレミス)

NAS

BUFFALO LS220DN0802Bは、法人向けNASというカテゴリーに属するNASで、長時間稼働するNAS向けに開発された専用ハードディスク「WD RED(CMR)」を2本(4TB×2)搭載しています。2本のハードディスクは、出荷時設定としてミラーリング(RAID1)に設定され、耐障害性を高めています。ミラーリング(RAID1)のため、実行容量は4TBです。また、別のNASへのバックアップ機能・無停電電源装置(UPS)連動機能を備えています。

バッファロー LS220DN0802B

大容量HDD搭載で小規模オフィスのファイル共有・バックアップに最適。長時間稼働に適した信頼性ある「WD Red」を採用。HDDを2台搭載で、データを自動で二重化する「RAID1(ミラーリング)」で安心。

無停電電源装置(UPS)

APC RS 400VA BR400S-JPは、最大出力容量400VA/240Wの無停電電源装置(UPS)です。BUFFALO LS220DN0802Bに対応したUPSとして登録されています。BUFFALO LS220DN0802B(最大消費電力48W)1台なら約50分のバッテリー駆動が可能です。

APC RS 400VA BR400S-JP

最大出力容量400VA/240W・長寿命バッテリー・雷サージ保護・PFC電源搭載の正弦波機器に対応。

バックアップ環境が構築できたら、それぞれ機器について「データーを別のNASへ定期的にバックアップする」「NASと無停電電源装置(UPS)を連動する」を参考にしながら設定します。

本記事では、自宅や事務所内などオンプレミスな環境におけるNASのバックアップ環境構築について紹介しました。別の方法として、クラウドストレージの利用があります。リスクの高いNASでの運用をやめてクラウドストレージに切り替えるのも方法の一つです。

参考:NASの外部アクセスによる危険性は?対策法について

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