Macintosh LC IIIの復活(後編)
Macintosh LC IIIを復活させるまでの備忘録(後編)です。
本記事は、Macintosh LC IIIの復活を試みたものです。Macintosh LC IIIは、製造からすでに30年ほど経過しており、経年劣化による事故を招く恐れがあります。本記事を参考にされる場合は、変化や異常を感じたら、すぐに使用を中止してください。
前編のあらすじ
「Macintosh LC IIIの復活(前編)」では、ピザボックスと呼ばれる薄型のMacintosh LC IIIと、その幅ぴったりに収まる12インチRGBディスプレイの組み合わせで復活させようとするも、12インチRGBディスプレイが動作せず。12インチRGBディスプレイとの接続はいったん保留して、解像度設定機能付き変換アダプターを使い、別のディスプレイに接続しました。
Macintosh LC IIIの電源投入すると「ジャーン」という起動音とともにディスプレイにも映像が出力され、ひとまず安堵。しかし内蔵ハードディスクが認識されることはなく、画面には「?」マークのディスクアイコンが表示されました。
Macintosh LC IIIの内蔵ハードディスクは、すでに入手が困難なSCSIインターフェース。どうする?SCSIハードディスクの危機、乗り越えられるのか?!
前編の内容は「Macintosh LC IIIの復活(前編)」でご覧になれます。
復活までの道のり(後編)
前編で「どうする?SCSIハードディスクの危機」とか言いながら終わったのですが、倉庫を漁ると意外にもあっさり見つかりました。当時使っていた外付けハードディスクです。この頃、地元でパーツを扱うお店は少なく(あっても高い!)、仲間内で誰かが東京(秋葉原電気街)へ行くとなると、周りがそれぞれ欲しいものをお願いしていた思い出がよみがえります。この外付けハードディスクもそのひとつ。みんなお揃いだったなぁ。
外付けハードディスクは見つかったけど、仮に問題なく動作したとしても、システムは入っていないはず。となると、システムのインストール用メディアが必要です。
フロッピーディスク収納ケースは確かこのあたりに・・・あった!この中にあるはず。
インストーラー!・・・HyperCard・・・これは違う。
KidPix・・・SPELUNX・・・QCAM・・・PictureWorks、KODAK DC40とか懐かしいな。
あっ、あった!インストール1 LC III用、たぶんこれ!
いや待てよ。15年以上放置していたMacintosh LC IIIのFDドライブに、フロッピーディスクを入れるのは怖いな。最悪、フロッピーディスクが壊れそうだし。うん、CD-ROMを探そう。
・・・
見つかりました。「Macintosh 漢字TALK7.5 インストールキット」です。このパッケージの中に漢字TALK7.5.1にアップデートされたインストール用CD-ROMが入っています。
CD-ROMを読み込むためのCDドライブ「APPLE CD 300」です。APPLE CD 300は、CD-ROMをトレイに乗せるトレイ式や隙間に差し込むスロットローディング方式ではなく、CD-ROMをキャディという専用ケースに入れてそのまま挿入するキャディ式です。
これがキャディとキャディに入れたCD-ROMです。
外付けハードディスクもCDドライブも、SCSI接続なので、SCSIケーブルとSCSIターミネーター(終端抵抗)が必要です。SCSIケーブルは、全結線(ツイストペアケーブル)で二重のシールドなので太い!直径約10mm。硬い&曲がらないケーブルなので取り回しに苦労します。
外付けハードディスクとCDドライブの接続
では、Macintosh LC III本体に、外付けハードディスクとCDドライブを接続していきます。まずは、本体のSCSIインターフェースにケーブルをつなぎます。
Macintosh LC III本体に接続したケーブルの他端と別のケーブルを、外付けハードディスクにつなぎます。
外付けハードディスクに接続したケーブルの他端とSCSIターミネーターをCDドライブに接続します。
SCSI接続の全体です。CDドライブと外付けハードディスクのように隣り合う機器を接続するときも、少し長めのケーブルで輪を作ってつないでいます。ケーブルが短いと、元に戻ろうとする(まっすぐになろうとする)力で軽い外付けハードディスクが転ぶことも。
外付けハードディスクとCDドライブがつながりました。SCSI機器は、このように数珠つなぎにして、最後にSCSIターミネーターを取り付けます。接続された機器は、それぞれ固有の番号(SCSI ID)を割り振り、その番号によって区別されます。今回、外付けハードディスクを「2」、CDドライブを「6」にしました。それぞれ上の写真で確認することができます。
外付けハードディスクとCDドライブの確認
外付けハードディスクとCDドライブの電源を入れてみましょう。まずは、外付けハードディスク。電源スイッチ、オーン!電源ランプ点灯、そして「ウィーン、カリカリカリ」おぉ、いい感じの音が聞こえます。とりあえず動いてそう。
続いて、CDドライブの電源スイッチ、オーン!電源ランプ点灯、そして「ウィーン、ウィーン・・・」ん?何の音だ。電源スイッチ入れ直し・・・今度は無音。うん、OK!
では、システムのインストールを試みます。この後のシナリオは次の通りです。
- CD-ROMからシステムを起動
- 外付けハードディスクの確認
- 漢字TALK7.5.3のインストール
- 外付けハードディスクからの起動
- ハードディスクの換装
- 内蔵ハードディスクからの起動
CD-ROMからのシステム起動
Macintosh LC III内のハードディスクは、すでに取り外しています。このまま起動しても「?」マークのディスクアイコンが表示されるだけなので、CD-ROM「Macintosh 漢字TALK7.5」からシステムを起動します。CDドライブにCD-ROMをセット。電源ランプが緑からオレンジになったので読み込みチェック中。排出されないので問題なさそう。
Macintosh LC IIIの電源スイッチ、オーン!CDドライブの電源ランプがオレンジの点滅になりました。どうやらCD-ROMから起動しているようです。実は、事前にCD-ROMから起動する手順として、キーボードのC、またはOption+Command+shift+deleteを押しながら電源スイッチを入れるというのを予習していたのですが、今回は必要ありませんでした。
しばらくすると・・・表示されました!ハッピーマック!
続けて、Welcome to Macintosh.
システムの起動画面、きたーーーーーー!
漢字TALK7.5は、このロゴが表示されるのね。忘却の彼方。
最小構成のため、アイコンパレードもなく、そのままシステムの起動完了。右上に表示されている「Apple Macintosh CD」がCD-ROM、その下の「Disk 01」が外付けハードディスクです。どうやら無事認識されているようです。
外付けハードディスクの確認
念のため、CD-ROM内の「Disk First Aid」で「Disk 01」を検証。「ボリューム "Disk 01"は、問題ありません。」とのお言葉を頂戴しました。
思いつかないときの常套手段「Disk+連番」で名付けられた「Disk 01」の気になる中身は、アプリケーション。空き容量は、約310MBあるのでシステムのインストールも問題ありません。MB!タイポじゃないですよ。メガバイトです。
漢字TALK7.5のインストール
外付けハードディスクに、十分な空き容量があるのでフォーマットせず、ファイルを残したまま、システムをインストールします。CD-ROMからインストーラーを起動。
続ける...
インストール先ディスクが「Disk 01」であることを確認して「インストール」をクリック。
インストールの準備中...
始まりました!手のアイコンが指折り数えています。
インストールの完了中...
エラーが出ることもなく、無事にインストールが完了しました。終了。インストールにかかった時間はおよそ25分。
外付けハードディスクからの起動
「Disk 01」の中にシステムフォルダができました。これで「起動ディスク」として扱うことができます。では「Disk 01」からシステムを起動してみましょう。
左上のアップルメニューからコントロールパネルを選んで...
コントロールパネルから「起動ディスク」を立ち上げて「Disk 01」を選び、そのまま再起動します。
「Disk 01」からシステム起動中。CD-ROMからの起動とは違って、拡張機能やコントロールパネルがアイコンパレード中!このままフリーズなんてこともあるからドキドキ。ちなみに、システムの起動時に拡張機能を無効にするときは、shiftキーを押しながら立ち上げます。
やったー!無事に起動完了。右上のアイコンが「Disk 01」になっています。右下には、日本語入力「ことえり」のパレットが見えますね。
ハードディスクの換装
外付けハードディスクからのシステム起動も無事確認できたので、SCSIハードディスクを取り出して、Macintosh LC IIIに取り付けます。
外付けハードディスクは抜け殻に...長い間、ありがとう!
内蔵ハードディスクからの起動
いよいよ、復活の瞬間!電源スイッチ、オーン!
「ジャーン」
よしよし...
...
...ん?
...
あっ!きっとSCSIケーブルがちゃんと挿さっていないのね。確認っと。
...
いや、挿さってるわ。
う~ん、なんで?
SCSIケーブルはちゃんと挿さってるし...
SCSIケーブル...
SCSI...
ん?もしかしてターミネータ-?
そういえば元々入ってたSCSIハードディスクには「内蔵タイプ」って書いてたような...確認してみると、確かにコネクターの後ろに7素子と思われる抵抗アレイが3つ。これがSCSIターミネーター。あらかじめ有効になっていたんですね。だから内蔵タイプ。
引っこ抜きました。
対する外付けハードディスクに入っていたSCSIハードディスクには、9素子の抵抗アレイを取り付ける場所はあるものの、姿は見えません。素子数が違うので、さっき引っこ抜いた抵抗アレイも挿さりません。
ということで、解決策を考えます。
- 抵抗アレイの仕様を確認して、手に入るようなら取り付ける
- 抵抗アレイではなく、内蔵用のSCSIターミネーターを探してみる
- あきらめて外付けハードディスクからシステムを起動する
とりあえずこの3つ。いや、あきらめたくないので上の2つ。
次回、解決編。お楽しみに!もう一回倉庫行ってくる。
「Macintosh LC IIIの復活(解決編)」をどうぞ。