導入の準備
Windows Server 2016をインストールするためのシステム要件と導入に使用する設定値について解説します。
1-1-1.システム要件の確認
Windows Server 2016の導入に先立って重要なのは、Windows Server 2016をインストールする先のサーバー機が、マイクロソフトが指定する「システム要件」を満たしているかどうか確認することです。通常は、サーバー機を購入する前の選定時に検討される項目です。システム要件は、マイクロソフトのウェブサイト上で公開されており、誰でも確認することができます。
Windows Server 2016のシステム要件(マイクロソフト)
マイクロソフトのウェブサイト上で公開されているクロック周波数・RAM容量・ディスク容量などのシステム要件は、Windows Server 2016が新規インストール(クリーンインストール)できる「最小値」です。サーバー機の選定時においては、提供する業務の内容・耐障害性・高可用性・安全性など、考慮する要素が数多くあり、実際の導入では、システム要件で示される値以上になることが一般的です。
サーバー機を販売するメーカーにおいても、Windows Server 2016への対応状況をウェブサイト上で公開したり、対応を謳ったサーバー機が販売されているので、選定の目安にするといいでしょう。
では、Windows Server 2016のシステム要件をいくつか見てみましょう。繰り返しますが、これはWindows Server 2016を新規インストールするための最小値です。詳しい内容は、マイクロソフトのウェブサイトで確認してください。
プロセッサー
- 1.4GHz64ビットプロセッサー
- x64命令セット対応
- NXとDEPのサポート
- CMPXCHG16b・LAHF/SAHF・PrefetchWのサポート
- 第2レベルのアドレス変換(EPTまたはNPT)のサポート
RAM
- 512MB
- 2GB(デスクトップエクスペリエンス使用時)
- ECC(誤り訂正符号)型または同様のテクノロジー
記憶域コントローラーとディスク領域
- PCI Expressアーキテクチャの仕様に準拠している記憶域アダプター
- 32GB(システムパーティション)
ネットワークアダプター
- ギガビット以上の処理能力があるイーサネットアダプター
- PCI Expressアーキテクチャの仕様への準拠
- Preboot Execution Environment(PXE)のサポート
1-1-2.導入に使用する設定値の決定
導入の準備として、導入作業(新規インストールおよび各種設定)に使用する設定値を、事前に決定(または確認)しておきます。あらかじめ一覧にしておくことで、導入作業がスムーズに進みます。ここでは、Windows Server 2016 Standardの導入に必要な項目を中心に解説します。
インストールする言語など
日本語環境でのインストールの場合、初期値は表1-1-2-1のようになるので、このまま設定します。他言語の追加は、インストール後に行えます。
インストールする言語 | 日本語(日本) |
---|---|
時刻と通貨の形式 | 日本語(日本) |
キーボードまたは入力形式 | Microsoft IME |
キーボードの種類 | 日本語キーボード(106/109 キー) |
プロダクトキー
Windows Server 2016を使用するためのライセンスが有効である証として、マイクロソフトとの契約によって「プロダクトキー」が発行されます。正規のWindows Server 2016であることを証明するために、インストール時にプロダクトキーの入力が求められます。
プロダクトキー | XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX |
---|
インストールするエディション
Windows Server 2016には、3つのエディションがあります。これらのエディションは、ライセンス契約時には既に決まっていることなので、ここでは確認を行います。
Datacenter | 高度に仮想化された環境 |
---|---|
Standard | ほとんど仮想化されていない、あるいは、まったく仮想化されていない環境 |
Essentials | ユーザー数が25名以内で、デバイスが50台以内の小規模組織 |
また、Windows Server 2016では「Server Core」と呼ばれる、サーバーとしての役割や機能を制限した最小限の構成でインストールすることができます。Server Codeでは、見慣れたGUI環境もインストールされません。Server Coreは、サーバーとしての役割が限定的に決まっており、メモリ容量やディスク容量を少なくしたい場合に有効な形態です。
Server Coreを選択するかどうかは、インストール時に「デスクトップエクスペリエンス」を有効にするかどうかで決まります。有効にした場合は、GUI環境が使える通常の形態である「フルインストール」が行われます。これらは、インストール後には変更できないので慎重に決定します。
インストールエディション | Standard |
---|---|
デスクトップエクスペリエンス | 無効(Server Core) 有効(GUI環境が使えるフルインストール) |
インストールするディスク領域
Windows Server 2016をインストールする領域を決めます。サーバー機に搭載されたディスクの領域を分割して使用するかどうか、分割する場合、各ドライブの容量をどうするか決定します。
また、DVDドライブなどのドライブレターは、自動的に「D」が割り当てられます。複数のディスク領域に分割する場合は、他のドライブレターへ割り当て直すかどうか検討します。なお、DVDドライブのドライブレター変更は、インストール後に行います。
表1-1-2-5は、搭載ディスクを100GBとして、その領域を分割した例です。分割したディスク領域をCドライブ・Dドライブとして、DVDドライブをRに割り当て直します。
搭載ディスク | 100GB×1本 |
---|---|
C | 60GB |
D | 40GB(残り全て) |
R | DVDドライブ |
管理者(Administrator)アカウントのパスワード
Windows Server 2016のインストール時に、自動的に作成される管理者(Administrator)アカウントのパスワードを決定します。インストール時に入力するパスワードは、マイクロソフトが定める「複雑さの要件」を満たさなければなりません。複雑さの要件は、次の通りです。
- ユーザーのアカウント名またはフルネームに含まれる3文字以上連続する文字列を使用しない
- 長さは6文字以上
- 次の4つのカテゴリのうち3つから文字を使用する
・英大文字(A~Z)
・英小文字(a~z)
・10進数の数字(0~9)
・アルファベット以外の文字(!・$・#・%・@など)
パスワード | P@ssw0rd2016 |
---|
余談ですが、マイクロソフトのサポート情報によると、パスワードは6桁以上でなくても設定できるようです。かなり以前から問題として認識されていますが、Windows Server 2016でも同じ現象となります。
"複雑さの要件を満たす必要がある" を有効にしてもパスワードの長さを6文字以上にする必要が無い(マイクロソフト)
コンピューター名
Windows Server 2016をインストールした直後は、コンピューター名にランダムな名前が割り当てられます。例えば「WIN-UG3EMQU66HH」のようになります。通常は、意味のある名前や組織の命名規則に則り、コンピューター名が決められます。マイクロソフトが推奨するコンピューター名は次の通りです。
- 長さは15文字以内
- 使用できる文字
・英大文字(A~Z)
・英小文字(a~z)
・10進数の数字(0~9)
・ハイフン(-)
コンピューター名の変更は、インストール後に行います。
コンピューター名 | svr01 |
---|
IPアドレス(IPv4)
Windows Server 2016をインストールした直後は、DHCPが有効になっています。同一ネットワーク上に、IPアドレスの振り出しが可能なDHCPサーバーが稼働していれば、自動的にIPアドレスが割り当てられます。通常は、組織の採番規則の則り、固定のIPアドレスが決められます。
IPアドレス(IPv4) | 192.168.1.201 |
---|---|
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
デフォルトゲートウェイ | 192.168.1.1 |
優先DNSサーバー | 192.168.1.1 |
代替DNSサーバー |
IPアドレス(IPv6)の無効化
Windows Server 2016をインストールした直後は、IPv6が有効になっています。IPv6を使用しない場合、無効化するかどうかを決めます。
IPv6を無効化した場合、IPv6トンネルインターフェース(6to4・ISATAP・Teredo)も合わせて無効化します。
IPアドレス(IPv6)の無効化 | 無効化する 無効化しない |
---|
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- 国井傑・新井慎太朗
- 出版社
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- 2017/06/18