DMX(DMX512)って何?
前回の「ムービングヘッドライトを使ってみた」では、ムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」を単体で動かしてみました。今回は、照明器具を制御する規格であるDMX(DMX512)に触れてみたいと思います。
DMX(DMX512)って何?
DMX(DMX512)
ライブやコンサート、イベントなどの舞台では、基本となる地明かり・バック・ブッチをパーライト・スポットライトなどのステージ照明で作り、ムービングライト・レーザー・フラッシュライトなどのエフェクト照明でさらなる演出を加えることがあります。舞台を演出するには、これらの照明器具を調光・調色したり、光の向きを変えることが欠かせません。
Lixada DMX512コントローラー
192のDMXチャンネル。それぞれ16チャンネルの12台のスキャナー。8つのプログラム可能なシーンの23バンク。184シーンの6つのプログラム可能なチェイス。キャビネット取り付け用の標準長さは 19 インチです。
DMX(DMX512)は、照明器具の調光や調色などの制御を行うための通信規格です。1本のケーブルで、512チャネルのデジタル信号を送受信することができ、1チャネルあたり256段階の制御が行えます。DMX512、または単にDMXと呼ばれます。ちなみに、DMX512は「Digital Multiplex with 512 pieces of Information」の略だそうです。
DMXケーブル
DMXケーブルとして、物理的にはXLRコネクター(キャノンコネクター)の5ピンタイプが規定されています。しかし、5ピンの内、2ピンは補助信号用として未接続の場合が多く、実質3ピンのみとなっています。そのため、現在はXLRコネクター(キャノンコネクター)の3ピンタイプが多く使われています。電気的にはRS485というシリアル通信で、ピンにはそれぞれGND(1番ピン)・DATA-(2番ピン)・DATA+(3番ピン)が割り当てられています。
DMXケーブルは、特性インピーダンスが110Ω程度のシールドケーブルです。同じXLRコネクター(キャノンコネクター)の3ピンタイプを使ったマイクケーブルがありますが、特性インピーダンスが異なるため、信号を正しく伝送することができず、誤動作の原因となります。また、120Ωのターミネーター(終端抵抗)を用いることが推奨されています。これは最後の照明器具の出力側に取り付けるもので、2番ピンと3番ピンを120オームの抵抗で接続します。
DMXケーブルによる結線
DMXに対応した照明器具には、通常、DMXのINPUT(入力)とOUTPUT(出力)があります。DMXケーブルによる結線は、DMXコントローラーから一文字(数珠つなぎ)にする方法や、スプリッターと呼ばれる分配器を通して結線する方法があります。
Lixada DMX512コントローラー
192のDMXチャンネル。それぞれ16チャンネルの12台のスキャナー。8つのプログラム可能なシーンの23バンク。184シーンの6つのプログラム可能なチェイス。キャビネット取り付け用の標準長さは 19 インチです。
DMXのチャネル
DMX(DMX512)は、前述のように最大512チャネル、1チャネルあたり256段階の制御が行えます。では、チャネルとはどういったものなのでしょうか。最大512台の照明器具を接続することができる?いいえ、実は違うんです。
DMXに対応した1台の照明器具を制御するには、通常複数のチャネルが必要になります。次の表は、ムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」のマニュアルから引用したものです。
BETOPPER LM70 9-Channel Mode
Mini Moving Head User Manual model:LM70
このように、ムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」では、1台あたり9チャネル必要となります。例えば、4番目のチャネルを使って、赤色の明るさ(Red Dimmer)を256段階(0~100%)で制御することができます。また、1番目のチャネルで水平方向(パン)、2番目のチャネルで垂直方向(チルト)の動き(回転角)を制御することができます。
ムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」には、9チャネルモードと14チャネルモードがあります。コントロールパネルからどちらか一方を選択できます。ここでは、9チャネルモードを紹介しました。
DMX(DMX512)を試してみる
「ムービングヘッドライトを使ってみた」で紹介したムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」を使って、DMXによる制御を試してみます。用意するのは、ムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」を2台、DMXケーブル1本です。
電源ケーブルを抜いた状態で、1台目のOUTPUT(出力)と2台目のINPUT(入力)をDMXケーブルで接続します。
電源を入れ、1台目の動作モードを「nAFA」に設定します。こちらがマスター(オートモード)となります。次に、2台目の動作モードを「SLAu」に設定します。こちらがスレーブとなり、1台目と同期して動作するようになります。
2台のムービングヘッドライト「BETOPPER LM70」が同期して動作するようすです。左側がマスター、右側がスレーブです。ほぼ遅延無く動作しています。テストで使用したDMXケーブルの長さは2メートルです。
この動画には、激しく点滅するシーンがあります。十分に注意してください。
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