YAMAHA RTX830で構築するリモートアクセス環境
自宅や外出先のモバイル端末から、店舗・オフィスのネットワークへ接続するリモートアクセス環境(VPN/Virtual Private Network)の構築について解説します。
セキュリティ対策や機能向上などのため、新しいファームウェアが提供されます。ファームウェア配布ページから対象機種の最新ファームウェアをご確認ください。
リモートアクセス環境の構築
対象となる環境
本記事で解説するのは、小規模な店舗・オフィスを対象としたもので、すでにホームゲートウェイ(ひかり電話対応・回線終端装置内蔵)によるインターネット接続・ひかり電話接続が行われているものとします。
ホームゲートウェイは、光コンセントSCを介して光回線に接続され、パソコン・スマートフォンなどのインターネット接続、および電話機のひかり電話接続のために必要な装置で、通常はインターネット利用契約時にレンタルされます。例えば、フレッツ光(HTTHアクセスサービス)の場合、PR-600シリーズやPR-500シリーズなどの装置が該当します。本記事におけるホームゲートウェイの主な設定は、次の通りです。
- LAN側IPアドレス:192.168.0.1/24
- IPv4 PPPoE:常時接続
- DHCPv4サーバー機能:使用する
- DHCPv4サーバー開始IPアドレス/個数:192.168.0.2/200
ホームゲートウェイ配下のネットワークに接続されている機器は、パソコン・無線LANアクセスポイント・プリンター・コピー機・ネットワーク対応HDD(NAS)などがあります。パソコンのIPアドレス(IPv4)は自動的に取得、プリンター・コピー機・ネットワーク対応HDDのIPアドレス(IPv4)は固定とします。本記事では、IPv6は使用しません。
YAMAHA RTX830(ギガアクセスVPNルーター)
すでに、インターネット接続・ひかり電話接続が行われている小規模な店舗・オフィスに対して、自宅や外出先のモバイル端末から接続できるようにリモートアクセス(VPN/Virtual Private Network)環境を構築します。環境の構築に欠かせないのが、VPN機能を搭載したルーターです。本記事では、VPN機能を搭載したルーターとして高く評価されている「YAMAHA RTX830(ギガアクセスVPNルーター)」を使用します。
RTX830は、従来モデルのRTX810に比べ、スループットが2倍(1Gbit/s→2Gbit/s)となり、VPN対地数が増加(6→20)するなど、大幅な性能向上が図られています。インターネット接続に必要なプロバイダー情報の設定やリモートアクセス(VPN)の設定は、Web GUIによる画面が用意されているのではじめてでも安心です。
リモートアクセス環境の構築
リモートアクセス環境の構築では、ホームゲートウェイが担っていたインターネット接続・ひかり電話接続のうち、インターネット接続をRTX830で行うように変更します。ホームゲートウェイに接続されていたパソコンなどの機器は、RTX830配下へ収容(LANケーブルの接続を変更)し、新たなネットワークアドレス(IPv4)は「192.168.101.0/24」とします。
ホームゲートウェイの変更点は次の通りです。設置されているホームゲートウェイの取扱説明書や操作マニュアルなどを参考にして、事前に変更してください。
- LAN側IPアドレス:192.168.0.1/24 → 192.168.101.2/24
- IPv4 PPPoE:常時接続 → なし
- DHCPv4サーバー機能:使用する → 無効
- PPPoEパススルー(PPPoEブリッジ):有効
LAN側IPアドレスは、新しいネットワークアドレス(IPv4)に合わせて変更します。IPv4 PPPoEとDHCPv4サーバー機能は、いずれもRTX830にて行うので、ホームゲートウェイでは無効化します。IPv4 PPPoEの常時接続については、切断しただけでは無効とならず自動接続するものがあるので、接続先設定の削除、または無効化へ変更します。PPPoEパススルー(ブリッジ)は、RTX830からのIPv4 PPPoEを外部へ通すために必要な設定です。
ホームゲートウェイの変更が完了したら、続けて、RTX830の設定作業を行います。設定項目は次の通りです。