ダイオード
整流・定電圧・定電流・検波など、さまざまな目的で使われる「ダイオード」を紹介します。
2-3-1.ダイオードの役割
ダイオードは「電気の流れを一方向にする」役割があります。電子工作でよく使われるダイオードは「シリコンダイオード」と呼ばれるもので、p型半導体とn型半導体を接合した「pn接合型ダイオード」の一つです。
ダイオードを用いる目的はさまざまです。電気の流れを一方向にすることから、交流を直流に変換したり、電気の逆流を防ぎます。この働きを「整流」といいます。また、電圧を一定にする「定電圧」や、電流を一定にする「定電流」として働きます。AMラジオの電波から音声信号を取り出す「検波」にもダイオードが使われています。
2-3-2.pn接合型ダイオードの構造と特性
単にダイオードといえば、図2-3-2-1に示したpn接合型ダイオードのことで、p型半導体とn型半導体を接合した構造になっています。p型半導体側の端子を「アノード」、n型半導体側の端子を「カソード」といいます。アノードからカソードへ向かって電気が流れるように電圧を印加することを「順方向バイアス」、その反対を「逆方向バイアス」といいます。ダイオードは、順方向バイアスによって電気が流れます。
図2-3-2-2は、ダイオードの電圧と電流の関係を表したものです。赤い線が順方向バイアス時、青い線が逆方向バイアス時の特性です。
順方向バイアス時には、ある電圧(VF)を超えた時、電流が一気に増加しています。順方向バイアス時は、電圧に関係なく電気が流れる印象があるかもしれませんが、実際にはある程度の印加が必要です。この電圧(VF)を「順方向電圧」といい、pn接合型ダイオード(シリコンダイオード)で0.6V~0.7V程度必要です。この順方向電圧がそのまま「電圧降下」の値となります。
逆方向バイアス時には、ほとんど電気が流れません。まったく流れないのではなく「リーク電流」と呼ばれるごく微量の電気が流れています。さらに逆方向の電圧を高めていくと、ある電圧(VR)で電気が急激に流れ出します。この電圧(VR)を「降伏電圧」といい、数10V~数100Vになります。この領域を超えるとダイオードは破壊されます。
2-3-3.ダイオードの種類
pn接合型ダイオードの他にも、さまざまなダイオードがあります。ここでは、ショットキーバリアダイオード・定電圧(ツェナー)ダイオード・定電流ダイオード(CRD/Current Regulative Diode)を紹介します。
ショットキーバリアダイオード
p型半導体とn型半導体との接合ではなく、金属と半導体を接合したダイオードです。pn接合型ダイオードと比べて、順方向電圧(VF)が0.3V~0.5V程度と小さく、低損失です。ただし、リーク電流が大きいなどの欠点もあるので、使用には注意が必要です。
定電圧(ツェナー)ダイオード
定電圧(ツェナー)ダイオードは、他のダイオードと違って、逆方向バイアスで使用します。降伏電圧(VR)で急激に電流が流れますが、その領域を超えても破壊されることがないため、安定した電圧(VR)を作り出すことできます。そのため、電源回路や過電圧の抑止回路などに利用されます。
定電流ダイオード(CRD/Current Regulative Diode)
定電流ダイオードは、その名前の通り、電圧が変化しても一定の電流が供給できるダイオードです。一般的に、定電流回路は複雑な構成になりますが、このダイオードを使用すれば、一素子のみで定電流を得られます。定電流ダイオードに印加する電圧を上げていくと、電流(IP)が一定になる領域があり、これをピンチオフといいます。電圧と電流の関係は、他のダイオードと全く異なり、図2-3-3-3のようになります。逆バイアス時には、電流を抑止することなく短絡します。
2-3-4.ダイオード関連のおすすめ品
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