人に反応して点灯する【防犯灯】
焦電型赤外線センサーを使って、人に反応してLEDが点灯する防犯灯を作ります。使用する焦電型赤外線センサーは、PaPIRs VZシリーズ EKMC1601111(パナソニック)です。
3-8-1.焦電型赤外線センサーとは
焦電型赤外線センサーは、周囲と温度差がある人や物が動くときに発生する赤外線の変化量を検出するセンサーです。変化する量を検出しているので、検知エリア内の対象物に動きがなければ検知できません。検知エリアに対象物が侵入したり、動きがあるものの検知に使われます。
ここで紹介する焦電型赤外線センサーは、PaPIRs VZ(パピルス VZ)シリーズのEKMC1601111(パナソニック)です。図3-8-1-1のように、レンズで覆われた筐体と入力電源(VDD)・グランド(GND)・出力(OUT)の三端子で構成されるセンサーです。
レンズは、広角検出タイプで水平角度82[°]・垂直角度94[°]、検出距離は5[m]です。検出対象は人体を想定し、背景との温度差が4[℃]以上、移動スピードは1.0[m/s]となっています。
出力はデジタルで、検知時にHighとなります。また、検知時の出力電流は100μ[A]以下に制限されています。
3-8-2.用意するもの
表3-8-2-1は、この電子工作に必要な部品などの仕様・定格です。
品名 | 数量 | 仕様・定格など |
---|---|---|
micro:bit本体 | 1 | |
プロトタイピングセット | 1 | KITRONIK-5609 |
焦電型赤外線センサー | 1 | EKMC1601111(パナソニック) 秋月電子通商(通販コード:M-09750)にて購入可能 |
LED(黄色) | 1 | 砲弾型、直径3ミリ(または5ミリ)、順方向電圧2.0[V]程度、制限電流20m[A] |
抵抗器 | 1 | カーボン抵抗、330[Ω](橙橙茶金)、1/2[W](または1/4[W]) |
抵抗器 | 1 | カーボン抵抗、51k[Ω](緑茶橙金)、1/2[W](または1/4[W]) |
ジャンプワイヤー(オス-メス) | 2 | KITRONIK-5609に付属のもの |
ジャンプワイヤー(オス-オス) | 適量 | 秋月電子通商(通販コード:P-00288)にて購入可能 |
プロトタイピングセットとは、ブレッドボードとmicro:bitのエッジコネクターをピンヘッダーに変換する基板が一つになった製品で、micro:bitを使った電子工作がハンダ付けなしで簡単に始められます。
プロトタイピングセットには、必要なジャンプワイヤーが付いてきます。
3-8-3.作る前に
micro:bitに何かプログラムが入っていると、想定外の動きをするかもしれません。「何もしない」プログラムをダウンロードして、micro:bitに送っておきましょう。
3-8-4.作り方
では、早速作ってみましょう。まず、部品がすべて揃っていることを確認したら、プロトタイピングセットのブレッドボードが手前になるように置きます。このブレッドボード上に部品を並べて、防犯灯の回路を作ります。
図3-8-4-2のようにジャンプワイヤーで配線します。ジャンプワイヤーはどんな色でもかまいません。図3-8-4-2では、同じ色のジャンプワイヤーが同じ長さを示しています。
次に、抵抗器・LED・焦電型赤外線センサーを配置します。LED・焦電型赤外線センサーには向きがあるので注意してください。ブレッドボードの「16F」にLEDの長い足(アノード側)、「5B」に焦電型赤外線センサーのグランド(GND)を挿します。
micro:bitのエッジコネクター「0」と焦電型赤外線センサーの出力(Out)、「1」と黄色LEDのアノード、「3V」と「GND」を各々ブレッドボードの電源ラインに接続します。接続に必要なオスーメスのワイヤーはプロトタイピングセットに付属しています。何色を使っても問題ありません。最後にもう一度、回路に間違いがないか確認しましょう。
完成した防犯灯です。
3-8-5.プログラミング(ブロック)
防犯灯のサンプルプログラムです。
最初だけ実行されるプログラム
ずっと実行されるプログラム
3-8-6.プログラミング(Javascript)
Javascript(テキスト)のサンプルプログラムです。
3-8-7.動かしてみよう
プログラムが完成したら動かしてみましょう。指の接近や身体の動きに反応して、LEDが点灯すれば成功です。
3-8-8.解説
図3-8-8-1は、防犯灯の電子回路を図記号で表した回路図です。PaPIRs VZシリーズのEKMC1601111は出力(OUT)がデジタルで、検知時にHighとなります。出力電圧は動作電圧(VDD)-0.5[V]です。
また、EKMC1601111では、出力電流が100μ[A]以内に制限されています。micro:bitでは、端子をデジタル入力に設定すると内部プルダウン抵抗が有効になりますが、抵抗値がおよそ13k[Ω]であるため、そのままでは出力電流が100μ[A]を超えてしまいます。そのため、プログラムで内部プルダウン抵抗を無効化し、外部にプルダウン抵抗として51k[Ω]の抵抗器を付けています。
micro:bitの端子P0で、500ミリ秒毎にEKMC1601111の出力(OUT)を確認して、High(1)時にLEDを3秒間点灯させています。LEDの点灯回路は「3-1.LEDを点灯させる【Lピカ】」を参考にしてください。
micro:bit関連のおすすめ品
micro:bitのエッジコネクターをピンヘッダーに変換するエッジコネクターピッチ変換基板と、ブレッドボードが一つになった製品です。付属のジャンパーワイヤーを使用することで、手軽に回路の実験ができます。