micro:bit(マイクロビット)とは
プログラミング教育用として開発された小型のコンピューターボードであるmicro:bit(マイクロビット)の特徴と使い方を紹介します。
2020年11月、micro:bitの新しいバージョンであるmicro:bit V2の国内販売が始まりました。micro:bit V2で追加された機能などについては「付録1-9.micro:bit V2の変更点」をご覧ください。
1-1-1.micro:bit(マイクロビット)って何だろう
micro:bitは、イギリスの公共放送局であるBBC(英国放送協会/British Broadcasting Corporation)が中心となって開発した教育用の小型コンピューターボードです。およそ4cm×5cmのプリント基板の前面には、中央に5列×5列(合計25個)の赤色LED・左右に1個ずつ(合計2個)のボタン(タクトスイッチ)を搭載しています。下部には、3つの入出力リング(0~2)・外部に電源を供給するリング(3V/GND)があります。また、リングの間には、20ピンのエッジコネクターがあり、I2CやSPIによるシリアル通信など、さらに高度な機能が引き出せます。
背面には、プロセッサー(Nordic Semiconductor nRF52833)・三軸加速度センサー・地磁気センサー(コンパス)・スピーカー・マイクロフォンを搭載しています。また、IoTで使われる無線通信規格の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)に対応しています。電源は、USB2.0マイクロBコネクターにパソコンやモバイルバッテリーを接続するか、電源用コネクターに電池2個(3V)を接続します。
そもそも、micro:bitは、BBCが子ども向けのプログラミング教育を目的として作ったもので、現在、その教育の推進は、micro:bit教育財団(Micro:bit Educational Foundation)が担っています。財団は、イギリスで設立された非営利団体(NPO)で、BBCに加えて、ARM・British Council(英国文化振興会)・IET(英国工学技術学会)・Lancaster University(ランカスター大学)・Microsoft・NOMINETなどがパートナーとして参加、事業をサポートしています。
2016年、イギリスでは、11歳~12歳の子ども約100万人に無償提供され、学校の授業で活用しています。そして、2017年8月に日本上陸。2020年度の小学校におけるプログラミング教育の必修化後、授業にも取り入れられるなど、とても勢いのある小型コンピューターボードです。micro:bitを活用したプログラミング教育については「第8章 プログラミング教育+micro:bit」で詳しく紹介しています。
1-1-2.micro:bit(マイクロビット)で何ができるの
micro:bitは、子ども向けのプログラミング教育用に作られたマイコンです。とても簡単なプログラムで、LED画面に文字や図形を表示したり、スピーカーから音楽を鳴らすことができます。それだけではありません。傾きを知る加速度センサー・磁力や方角を知る地磁気センサー(コンパス)・周囲の音量を知るマイクロフォン・温度センサー・光センサーなどは、これからプログラミングを始めようとする子どもの好奇心を刺激するには十分な機能です。そうそう、無線機能も忘れてはいけません。複数のmicro:bit同士が無線機能で通信できます。
図1-1-2-1は、LED画面に大小のハートを繰り返し交互に表示する「ドキドキハート」というプログラムです。micro:bitのプログラミングは、ブロックをつなげてプログラムを組み立てる「ビジュアルプログラミング」と言われるもので、必要な環境は無料で提供されています。また、シミュレーターがあるので、プログラムを作りながら動作を確認することができます。できあがったプログラムを、micro:bit本体で動かす(ダウンロードする)のも簡単です。
また、エディター画面上部にあるボタンでブロックとテキスト(JavaScript・Python)を切り替えることができます。ブロックだけではなく、JavaScriptやPythonなどのテキストプログラミングに挑戦できます。もちろん、ブロックとテキストはいつでも切り替えられるので、もしテキストで悩んでも自ら解決の糸口を見つけられます。
micro:bitの小さな本体には、驚くほどたくさんの機能があります。この機能だけでも、あなたの想像力を発揮することで、おもしろいガジェットを創造することができます。でも、micro:bit本体だけでは満足できなくなったら?
心配はご無用です。micro:bitには、機能を拡張するためのエッジコネクターが搭載されています。このエッジコネクターを通して、さまざまな拡張ボードを接続することができます。拡張ボードを接続することで、さらに可能性が広がります。
さらには、ロボットやAIカメラなどのキットも充実しています。これらの拡張ボードやキットは「付録3.製品レビュー」で詳しく紹介しているので参考にしてください。
micro:bitは、手軽にはじめることができて、理解が進めば可能性は無限大に広がる、そんなマイコンです。
1-1-3.どうやって手に入れる
micro:bitを手に入れたくなった人もいるのではないでしょうか。国内では、スイッチサイエンスのウェブショップで購入できる他、Amazonなどでも購入可能です。
micro:bit(マイクロビット)とセンサーなどが一つになったセットもあります。
micro:bit はじめてセット v2対応版
ロボット教育学の第一人者である、相模女子大学小学部校長の川原田 康文先生と共同制作したスタートガイドがセットになっているので、お子様一人でも学習を進めることができます。
1-1-4.micro:bit関連のおすすめ品
新しいバージョンであるmicro:bit V2への完全対応や工作例が増えたほか、小学校の先生による「micro:bitで自由研究」も収録、話題のAIプログラミングにも挑戦しています。ページ数は、第2版の192ページから大幅に増え、第3版では248ページとなりました。
micro:bitではじめるプログラミング 第3版-親子で学べるプログラミングとエレクトロニクス
- 出版社
- オライリージャパン
- 著者
- スイッチエデュケーション編集部
- 発売日
- 2021/7/27
身の回りの物で簡単に作れて、たのしくあそべる作例を32作品も紹介した「 micro:bitであそぼう! たのしい電子工作&プログラミング」がV2に対応してパワーアップ!