Node-REDのインストール

Node-REDをRaspberry Pi OSへインストールする手順を紹介します。
12-7-1.Node-REDとは
Node-REDとは
Node-RED(ノードレッド)は、さまざまな機能を持つ「ノード」を「ワイヤー」でつないで、一連の処理を作ることができるフローベースのビジュアルプログラミングツールです。一連の処理のことを「フロー」といい、フローを編集するエディターにはブラウザからアクセスします。
標準で搭載されているノードのほかに、デバイスからデータを取得するノードやクラウドサービスに接続できるノードなど、便利なノードを追加することができます。デバイス上のセンサーで取得した値をクラウドサービスへ容易に連携できることから、IoTプラットフォームとして高く評価されています。
Node-REDの歴史
Node-REDは、2013年初めにIBMのプロジェクトとして誕生、当初はMQTTメッセージのマッピングを可視化する実証実験でした。同年9月にオープンソース化された後、6年間にわたりバージョンアップを繰り返し、2019年9月に正式版v1.0がリリースされました。
Node-REDの利用環境
Node-REDを利用するには、次の二つの方法があります。
- ローカル環境へインストールしたNode-RED
- IBM Cloudなどのクラウドサービスで提供されるNode-RED
本記事では、Raspberry Pi OS(旧Raspbian OS)にNode-REDをインストールして利用する方法について紹介します。
もっと詳しく
Node-REDに関する詳しい情報は「Node-RED ユーザーグループ ジャパン(Node-RED User Group Japan)」をご覧ください。
また、次の書籍もおすすめです。
12-7-2.Raspberry Pi OSのインストールと初期設定
本記事では、Node-REDをRaspberry Pi OS(旧Raspbian OS)へインストールする方法を紹介します。インストールする手順は、Node-RED User Group Japanのドキュメント「Raspberry Piで実行する」で紹介されているものを参考にしています。
Raspberry Pi OS(旧Raspbian OS)
2020年3月にリリースされたRaspberry Pi OSのインストール用ツール「Raspberry Pi Imager」を使ってインストールできるRaspberry Pi OSには、デスクトップ環境の有無やインストールされるソフトウェアの違いにより、次の3種類があります。
- Raspberry Pi OS Lite
- Raspberry Pi OS
- Raspberry Pi OS Full
Raspberry Pi OS Liteは、サーバー利用などを目的としたもので、デスクトップ環境(グラフィカルな操作画面)がインストールされない最小構成版です。Raspberry Pi OSは、グラフィカルな操作ができるデスクトップ環境と重要なソフトウェアがインストールされている標準版です。Raspberry Pi OS Fullは、さらにおすすめソフトウェアがインストールされている全部入り版です。
Raspberry Pi OSをインストールする手順は「12-6.Raspberry Pi OSをインストールする」、初期設定は「12-3.Raspbian OSの初期設定」で紹介しているので参考にしてください。とりあえず、最新版のNode-REDを試してみたいという人は、LiteやFullではないRaspberry Pi OSがおすすめです。
12-7-3.Node-REDのインストール(Raspberry Pi OS)
LiteやFullではないRaspberry Pi OSへのインストール方法です。
Raspberry Pi OSのインストールと初期設定
Raspberry Pi OSのインストールが完了して、ネットワーク接続などの初期設定も終わっていることが前提となります。インストールする手順は「12-6.Raspberry Pi OSをインストールする」、初期設定は「12-3.Raspbian OSの初期設定」を参考にしてください。
Node-REDのインストール
ターミナル(端末)を起動して、以下のコマンドを実行します。
1 | bash <(curl -sL https://raw.githubusercontent.com/node-red/linux-installers/master/deb/update-nodejs-and-nodered) |
本当にインストールするかどうか確認のメッセージが表示されるので「y」を入力します。また、Raspberry Pi用のノードを追加するかどうか確認のメッセージが表示されるので、同様に「y」を入力します。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 | This script will remove versions of Node.js prior to version 7.x, and Node-RED and if necessary replace them with Node.js 12.x LTS (erbium) and the latest Node-RED from Npm. It also moves any Node-RED nodes that are globally installed into your user ~/.node-red/node_modules directory, and adds them to your package.json, so that you can manage them with the palette manager. It also tries to run 'npm rebuild' to refresh any extra nodes you have installed that may have a native binary component. While this normally works ok, you need to check that it succeeds for your combination of installed nodes. To do all this it runs commands as root - please satisfy yourself that this will not damage your Pi, or otherwise compromise your configuration. If in doubt please backup your SD card first. Are you really sure you want to do this ? [y/N] ? y Would you like to install the Pi-specific nodes ? [y/N] ? y |
まず、Node-REDの実行に必要なNode.js(npmを含む)がインストールされます。インストールされるNode.jsのバージョンは、v12系(LTS)の最新版となります。次に、Node-REDがインストールされます。インストールされるNode-REDのバージョンは、npmで提供される最新版となります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 | Running Node-RED install for user pi at /home/pi on raspbian This can take 20-30 minutes on the slower Pi versions - please wait. Stop Node-RED ? Remove old version of Node-RED ? Remove old version of Node.js ? Install Node.js LTS ? Node v12.18.2 Npm 6.14.5 Clean npm cache ? Install Node-RED core ? 1.1.0 Move global nodes to local - Install extra Pi nodes ? Npm rebuild existing nodes - Add shortcut commands ? Update systemd script ? Any errors will be logged to /var/log/nodered-install.log All done. You can now start Node-RED with the command node-red-start or using the icon under Menu / Programming / Node-RED Then point your browser to localhost:1880 or http://{your_pi_ip-address}:1880 |
インストール中にエラーなどが表示されなければ完了です。続けて「12-8.Node-REDの起動とアクセス」へ進みましょう。
12-7-4.Node-REDのインストール(Raspberry Pi OS Lite)
Raspberry Pi OS Liteへのインストール方法です。
Raspberry Pi OS Liteのインストールと初期設定
Raspberry Pi OS Liteのインストールが完了して、ネットワーク接続などの初期設定も終わっていることが前提となります。インストールする手順は「12-6.Raspberry Pi OSをインストールする」を参考にしてください。Raspberry Pi OS Liteのインストール後、raspi-configコマンドを使って、ネットワーク接続などの初期設定を行ってください。
Node-REDのインストール
Node-REDのインストールは、上記の「12-7-3.Node-REDのインストール(Raspberry Pi OS)」と同じコマンドです。
インストール中にエラーなどが表示されなければ完了です。続けて「12-8.Node-REDの起動とアクセス」へ進みましょう。
12-7-5.Node-REDのインストール(Raspberry Pi OS Full)
Raspberry Pi OS Fullへのインストール方法です。
Raspberry Pi OS Fullのインストールと初期設定
Raspberry Pi OS Fullのインストールが完了して、ネットワーク接続などの初期設定も終わっていることが前提となります。インストールする手順は「12-6.Raspberry Pi OSをインストールする」、初期設定は「12-3.Raspbian OSの初期設定」を参考にしてください。
Node-REDのインストール
Raspberry Pi OS Fullには、あらかじめNode-REDとNode-REDの実行に必要なNode.js(npmを含む)がインストールされています。インストールされているバージョンは、本記事の執筆時点(2020/07/02)で次の通りです。
Node.js | v10.21.0 |
---|---|
npm | 5.8.0 |
Node-RED | 1.0.6 |
このまま、Node-REDを使うこともできますが、以下のコマンドでNode-REDを最新版へアップデートできます。上記の「12-7-3.Node-REDのインストール(Raspberry Pi OS)」と同じコマンドです。
1 | bash <(curl -sL https://raw.githubusercontent.com/node-red/linux-installers/master/deb/update-nodejs-and-nodered) |
Node-REDのインストール用コマンドは、古いNode.js(npmを含む)がすでにインストールされている場合、最新版へアップデートします。ただし、対象となるのはv7以前のものです。残念ながら、Raspberry Pi OS Fullに含まれているNode.js(npmを含む)は、アップデートの対象となりません。
Node-REDのインストール用コマンドを実行する前に、Node.js(npmを含む)を削除すればどうでしょうか?この場合、最新版のNode.js(npmを含む)がインストールされます。ただし、筆者の環境では、Node-REDの実行時に、次のエラーが出力されました。
[node-red-node-serialport/serialport] Error: libnode.so.64: cannot open shared object file: No such file or directory
これは、Raspberry Pi用に追加されたノードSerialportに必要なライブラリーが見つからないというものです。もちろんこのノードは使えません。現時点(2020/07/02)で、削除する方法はおすすめできません。
インストール中に、次のWARNメッセージが出力されることがあります。無視できます。
npm WARN npm npm does not support Node.js v10.21.0
インストール中にエラーなどが表示されなければ完了です。続けて「12-8.Node-REDの起動とアクセス」へ進みましょう。
おすすめ品
はじめてのNode‐RED 改訂版
「Node‐RED」は、IBMが2013年に開発した、オープンソースの「IoTアプリ/Webアプリ」向けの開発環境。「PC上」のデータも、「センサ」で取得したデータも、「Web上」のデータも、「クラウド上」のデータも、データを加工してやり取りするのに必要なのは、「ノード」と呼ばれる「ブロック」をつなぐだけ。本書では、この「Node‐RED」の基本的な操作からはじめ、実例による活用方法まで、具体的に学べるように解説しています。
実践Node-RED活用マニュアル
ビジュアルプログラミング用開発ツール「Node‐RED」6年間の開発と88回の更新を経て、ついに正式版「ver.1.0」リリース(2019年9月30日)。「Node‐REDユーザーグループ」有志が多彩で具体的な活用事例を解説!