micro:bitを構成する部品(背面)
micro:bit(マイクロビット)の背面に取り付けられた部品の特徴を紹介します。
2020年11月、micro:bitの新しいバージョンであるmicro:bit V2の国内販売が始まりました。micro:bit V2で追加された機能などについては「付録1-9.micro:bit V2の変更点」をご覧ください。
1-3-1.実機で構成する部品をみる(背面)
micro:bit(マイクロビット)は、およそ4cm×5cmのプリント基板にさまざまな部品が収められた小型のコンピューターボードです。micro:bitの背面に取り付けられた部品を実機でみてみましょう。
図1-3-1-1が、micro:bitの背面です。背面には、32ビットARM Cortex-M0ベースのプロセッサーを中心に、地磁気センサー(コンパス)・三軸加速度センサー・USBコネクター・電源コネクター・システムボタン(Rボタン)・ステータスLEDを搭載しています。また、IoTで使われる無線通信規格の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)に対応し、BLEアンテナも搭載しています。
1-3-2.プロセッサー(メイン・インターフェース)
micro:bitには、二つのプロセッサーが搭載されています。一つは、ブロックエディターなどで作成したプログラムを実行するメインプロセッサーです。もう一つは、そのプログラムを書き込むためのインターフェースプロセッサーです。
まず、メインプロセッサーを見てみましょう。micro:bitのメインプロセッサーには、ノルディックセミコンダクター社のnRF51822が採用されています。nRF51822は、32bit ARM Cortex-M0・フラッシュメモリー・アナログおよびデジタル周辺機器・業界最小の消費電力を誇る2.4GHz無線モジュールなどを集積したSoC(System on Chip)で、IoTで使われる無線通信規格の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)に対応しています。動作周波数は16MHz、16KBのRAM・256KBのフラッシュメモリーを搭載しています。また、nRF51822内に温度センサーを内蔵しています。
micro:bitは、平成29年6月30日に、技術基準適合証明等を受けた機器(技適)として登録されています。工事設計認証番号は「018-170172」です。技術基準適合証明等を受けた機器の検索(総務省)で検索することができます。
次に、インターフェースプロセッサーを見てみましょう。micro:bitのインターフェースプロセッサーには、NXP社のKL26Zが採用されています。このKL26Z上では、DAPLinkと呼ばれるソフトウェアが動作しており、メインプロセッサーのメモリー領域へプログラムを書き込む機能・USBを介した仮想シリアルポート機能などが提供されます。
DAPLinkは、KL26Zのファームウェアとして、随時更新されており、https://github.com/ARMmbed/DAPLink/releasesから最新分がダウンロードできます。現在インストールされているファームウェアのバージョンは、micro:bitをパソコンへ接続したときに表示されるファイル「DETAILS.TXT」の中に記述されています。
1-3-3.BLE(Bluetooth Low Energy)アンテナ
BLE(Bluetooth Low Energy)アンテナです。
1-3-4.地磁気センサー(コンパス)
地磁気センサー(コンパス)で、方位を知ることができます。取得できる値は、北を基点として時計回りに、0~359です。(北:0、東:90、南:180、西:270)
地磁気センサーを使用する場合、最初にキャリブレーション(較正)が必要です。プログラム実行時に、キャリブレーションが必要かどうかを自動的に判断して、LED画面に「TILT TO FILL SCREEN」と表示されます。micro:bitを傾けながら、LED画面をすべて点灯させると、キャリブレーション終了です。
micro:bitは、地磁気センサーに、NXPセミコンダクターズ社のMAG3110を採用しています。MAG3110は、I2Cシリアル通信でプロセッサーに接続され、アドレスは0x0Eです。
1-3-5.三軸加速度センサー
三軸加速度センサーは、micro:bit本体の前面を上にした状態で、左右(X軸)・前後(Y軸)・上下(Z軸)の加速度を、-2G~+2Gの範囲で知ることができます。取得できる値は、X軸が-2032~2048(左方がマイナス、右方がプラス)・Y軸が-2032~2048(後方がマイナス、前方がプラス)・Z軸が-2048~2032(上方がプラス、下方がマイナス)です。但し、いずれの値も、落下方向に重力加速度の影響を受けています。
常に、重力加速度の影響を受けていることから、micro:bitが静止した状態では、左右(X軸)・前後(Y軸)の傾き、裏表(Z軸)を知ることができます。micro:bitの前面を上にして、水平にした状態では、X軸・Y軸の値が0付近、Z軸の値が-1023付近となります。これは、Z軸に対して、重力加速度(1G)が下向きにかかっているからです。
右に傾けることでX軸の値がプラス(左はマイナス)、前方に傾けることでY軸がプラス(後方はマイナス)となり、いずれも垂直時に重力加速度の影響が最大値(1G)となります。
micro:bitは、三軸加速度センサーに、NXPセミコンダクターズ社のMMA8653を採用しています。MMA8653は、I2Cシリアル通信でプロセッサーに接続され、アドレスは0x1Dです。
1-3-6.ステータスLED
ステータスLEDは、USBによってmicro:bitへ電源供給が行われている場合、オレンジ色に点灯します。そして、システムに何かが発生したとき、点滅します。例えば、パソコンからmicro:bitへプログラムを転送している間、ステータスLEDは点滅します。
1-3-7.リセットボタン(Rボタン)
リセットボタンを押と、micro:bitは再起動して、プログラムを最初から実行します。
また、リセットボタンを押しながらUSBケーブルでパソコンに接続すると、メンテナンスモードという特別な状態で接続されます。パソコンには、MAINTENANCEドライブとして表示されます。メンテナンスモードは、インターフェースプロセッサーKL26Zのファームウェア(DAPLink)をバージョンアップするときなどに使用します。
1-3-8.USBコネクター
micro:bitには、USB2.0のマイクロBコネクターが搭載され、マイクロUSBケーブル(A-マイクロB)でパソコンに接続します。パソコンに接続することで、プログラムの転送やシリアル通信が行えるほか、micro:bitに電源を供給することができます。電源用コネクターに電池をつなぐ必要はありません。
シリアル通信については、「micro:bitでWindowsパソコンとシリアル通信」の記事をご覧ください。
micro:bitでは、USBコントローターに、NXPセミコンダクターズ社のKinetis KL26を採用しています。Kinetis KL26に内蔵されたレギュレーターによって、必要な電圧3.3Vを出力します。
1-3-9.電源用コネクター
電源用コネクターには、2ピンのPHコネクター(サイド型)が搭載され、単三電池2本(1.5V×2=3V)が入る電池ボックスなどを接続することができます。micro:bitで使える電池ボックスについては、付録3-2 電池ボックス【単三電池用】で紹介しています。
BBC micro:bit用 単三電池2本をJST PHコネクタで出力できる電池ボックス
BBC micro:bitで使える、単三電池を2本入れることができる電池ボックスです。
1-3-10.micro:bit関連のおすすめ品
マイクロビット micro:bit はじめてセット
「はじめてセット」ではmicro:bit本体のセンサーについて学ぶことができます。センサーを応用し、時計やおもちゃなど身近にあるものを作ってみよう。想像力次第でできることは無限大! すぐに学べるパーツ3点と、わかりやすい学習教材付き。
マイクロビット micro:bit アドバンスセット
「アドバンスセット」ではmicro:bitに搭載されているセンサーとパーツを組み合わせて、音を鳴らす楽器をつくったり、オリジナルロボットを作ったり、高いレベルの工作にチャレンジできます。想像力次第でできることは無限大! すぐに学べるスペシャルパーツ8点と、わかりやすい学習教材付き
第2版でますますパワーアップ。micro:bitにはじめて触れる小学校高学年以上を対象に、ハードウェアの基本からプログラミングのしかた、さまざまな作品の作り方までをていねいに解説しています。親子で学ぶプログラミングとエレクトロニクスの入門書にぴったりの一冊です。
micro:bitではじめるプログラミング ―親子micro:bitではじめるプログラミング 第2版 ―親子で学べるプログラミングとエレクトロニクス (Make: KIDS)
- 著 者
- スイッチエデュケーション編集部
- 出版社
- オライリージャパン
- 発売日
- 2019/6/19
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